現実

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その時の猛はとてもではないが、歩ける状況ではなかった。 木下が驚いたのは、歩けるどころか、言葉を喋る事すらその激痛の前では耐えられるはずのない状況にある事・・・・ それを、何事もないかのような顔をして、しゃべり通す猛を見て、とてつもない精神力を持ち合わせている人間やと、驚きを隠せずにいた。 山川が猛に惚れ込んだ理由が、【魅眼】だけではないと確信していた。 木下:「猛君・・・ 君はまだ予断を許さない状況にある事を忘れないで欲しい。 臓器にも傷がある状況なんだ。 今無理をしたら、取り返しがつかない事になってしまう・・・」 猛:「分かってます。 やけど・・・・ それでも、親父の顔が見たいんです。 木下さん・・・・ これだけはワガママ聞いて欲しいんです。 お願いします」 そう言葉を並べた、猛の【眼】は、また光を取り戻し、生きる為に何が必要なのかを訴えてるようであった。
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