3402人が本棚に入れています
本棚に追加
兵頭が病室から出て行き、その空間が静粛に包まれた。
病床の上で一つため息を吐いたと同時に激痛が猛を襲った。
猛:「痛っ・・・」
顔をしかめて思わず声に出てしまった。
ふと、顔を上に上げた瞬間、耳の奥から耳鳴りのようなモノが響き渡った。
次第にその耳鳴りは鮮明になっていき、ノイズに混じり何か言葉のようなものを伝えているようにに感じられた・・・・
思い込みなのか?
はたまた、精神的に不安定な状態の時に起こり得る何かなのか?
答えは分からなかったが、【耳鳴り】は確かにこう言ったのであった。
「一人で抱えこむな・・・」
猛は思わず後ろを振り向き、そのまま辺りを見回した・・・・
辺りは別段変わった様子もなかった。
(気のせえか・・・・・・・)
思い込みにしては、リアルな声であった・・・
声の主は紛れもない、親方他ならなかった。
頭が親方の事で一杯やったからやろう・・・・
自分に言い聞かせながらも、頭でさっきの言葉を何度も復唱していた。
最初のコメントを投稿しよう!