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ホンマに親方に呼ばれているように感じた。
それは、生まれてから今日まで経験した事のない感覚・・・
聴覚からでもなく、視覚からでもなく・・・
身体の中心から入ってくるような感覚。
今日やたらと、その直感というものが研ぎ澄まされていた。
猛は、二人に抱えられ、車椅子から立ち上がった。
ほんの数時間前まではほとんどの体重を兵頭に委ねなければ歩けなかったが、今は軽く添える程度で普通に歩いていた。
木下:「・・・・・・・」
(どないしたら、そんな早く回復する!? ホンマやったら喋る事すら辛い状況なはずや・・)
木下は長い事、医師として色んな患者を目の当たりにしてきたが、ここまで常識外れの患者を見るのは、当然初めての事であった。
猛は、そこで綺麗な顔をして寝ている親方の下へ移動し、そっと片膝を付いた。
猛:「親父・・・・・・
綺麗な顔してるな?
今からどこに行くんや?
親父がここで見てくれてる事は何となく感じてる・・・
こんな感覚は生まれて初めてやから何となく分かるんや・・」
親方に向かって、言葉を発する猛の横顔を見ながら、兵頭は小さく頷いていた。
兵頭:「・・・・・」
(やっぱり猛だけの意思やない・・・猛には親方が付いてるんやな・・・・・・・)
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