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しばらくの間二人と混じり、昔話に聞き入っていた。
全く知らない話にも関わらず、不思議と話に入り込む事ができた。
そこに出てくる親方は、想像以上に強く、皆の憧れであった事が伺えた。
そんな雑談の最中、その部屋へ一人の女性が入ってきた。
猛もその女性の方向へ視線を移した。
視線を女性に移したとほぼ同時のタイミングで、木下がその女性へ話掛けた。
木下:「啓子ちゃん、来てくれたんか・・・」
啓子と呼ばれるその女性は、木下の方を向き、軽く会釈をした。
坂上:「啓子・・・ちゃん?
君・・啓子ちゃんなんか?」
坂上は啓子の方を見つめながら、懐かしそうな顔をしていた・・・
猛:「坂上さん、知り合いですか?」
坂上にそう確認した猛であったが、啓子を見て、なぜか初めて会ったという気がしなかった。
猛のその言葉に対して、今度は啓子が口を開いた。
啓子:「坂上?
あなたが、坂上さん?」
そう消えるような声で、呟いた啓子であったが、その視線は坂上に対する恨みを醸し出しているようであった・・・・。
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