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啓子:「今更謝られても、母は戻っては来ませんから」
啓子はそう坂上に口を開くと冷たい視線を坂上から親方へと移した。
猛:「・・・・・・・」
(今の言い分やと、まるで坂上さんが親方の奥さんを殺したみたいやないか・・・
さっきの話が何となく繋がってきた。
きっと、啓子さんは誤解したままなんやな・・・)
坂上:「・・・・・・」
坂上もまた、啓子の一言に言葉を失い、下を向いた。
木下:「啓子ちゃん・・・
その話は前にもお父さんの代わりに僕が伝えたけど・・・」
啓子:「もういいです。
どうでもいい話です。
私は、父もあなたも許せない。
それだけです」
逸らした視線をもう一度坂上に定め、啓子は投げ捨てるように言葉を発した。
木下:「啓子ちゃん・・・
君はいつまで、山川さんを困らせる気なんや?
山川さんは君の為・・・
いや君だけやない。
君とかずみさんの為にここまで頑張って来たんや・・
何でそれを理解してやれんねや・・・・」
自分の言葉に【何か】をダブらすように、木下は反論した。
木下がその言葉を繰り返し何度も啓子へ言い続けてるんやろうと・・・
そんな風に思えた。
木下が親方の過去を振り返った時、確かにこう言うていた。
亡くなられた奥さんと縁を切った娘が居る・・・・と。
その話と、今の現状を繋げるとそれはほぼ確信的に繋がっていった・・・・・
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