別れ

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啓子:「猛君って言ったかしら?」 猛:「はい」 啓子:「ありがとう・・・ あなたと話をしてると、私にも後悔の念が浮かんでくるわ。 やけど・・・ 私は父が許せなかった・・・ どうしても・・・ 許せなかったの」 猛:「家族の事に割って入る気はありません・・・ 僕も勝手な想像で、話に入ってる思います。 やけど・・・」 根拠のない事を言ってると自分で分かってるからこそ、それ以上の言葉を言えなかった。 啓子:「父は、あなたみたいな人を育てる事が出来て、満足やったと思います。 父がどんな人間か、私も分かってるつもりです。 やけど、、、 どうしても自分を納得させる事が出来ない・・・・・」 そこまで会話を続け、詰るように言葉を塞いだ。 しばらくの間、啓子のすすり泣く声が辺りを支配していた。 猛は直感で、啓子が親方の事を理解する為にここへ来たんやと判断していた。 猛:「啓子さん・・・ また、今度ゆっくり話出来ませんか?」 啓子:「・・・・・そうね」 啓子は初めて会った猛を他人とは思えなかった。 妙に懐かしい雰囲気を感じていた。 幼少の頃、自分を抱きかかえてくれていた、父親とどこかダブって見えていた・・・。
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