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その後、色んな人が、親方の顔を最後に拝見しようと、集会所を訪れた。
その列の中に、足立と喜一の姿もあった。
ミナに喜一だけには知らせるように頼んでおいた。
一通りの事を済ませ、喜一は猛の方へ歩み寄った。
喜一:「驚きだらけやわ・・お前」
猛:「・・・・・・・ああ」
喜一:「この前も店来るて電話よこしといて、来んから心配してたのに・・・」
そこまで早口で話した喜一は、猛の身体に起きている違和感を感じ取った。
喜一:「お前・・・どないしたんやその腹・・・
それに何やねん、その車椅子は?」
猛:「何でもないわ」
喜一:「何でもない事あれへんやないか・・・
そんだけ服に血滲んで来てて只事やないやろうが!」
猛:「騒ぐなや・・・」
喜一:「お前はホンマ・・・」
昔から弱みを見せへん奴と分かってたので、それ以上は敢えてその話には触れなかった。
猛:「俺の事はどうでもええ・・・
親方の顔、最後に見てやってくれや・・・」
喜一:「ああ、せやな・・・」
喜一は猛の前で静かに眠る親方へ視線を移し、そっと白い布切れを取り除いた。
喜一:「・・・・・・・」
猛:「ええ顔してるやろ?」
喜一:「ちゅうかお前・・・
めちゃくちゃ痩せてしもてるやん・・・」
猛:「・・・・・・・・」
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