3402人が本棚に入れています
本棚に追加
/780ページ
喜一:「お前これからどないすんねや?」
喜一は、猛がここまで変われたのが誰よりも親方の存在があったからと確信していた。
その存在が失われた今・・・
また、【あの頃】の猛に戻ってしまうのではないかと恐れていた。
猛:「何も変わらんよ。
俺は俺や・・・
これからも親方を信じて生きてくだけやって」
喜一:「ほうですか。
まあ、俺にはよう分からんわ。
女絡みやったらいつでも相談してくれや・・・」
猛:「は~~。
お前はどんな状況でも頭の中は同じやな?」
批判しながらも、親友の一言で気持ちが楽になったのを実感し、不謹慎ながら落ち着く事が出来ていた。
喜一:「まあ、あれや・・・
お前は弱いねんから、おとなしくしとけや・・・」
親方の事はショックやった・・
信じられん位やせ細っていた親方を見て、掛ける言葉を見失っていた。
やけど、それ以上に猛の事が心配であった。
素直に心配しても、焼け石に水と分かっていたので、遠まわしに心配して見せていた。
猛:「アホぬかせ・・・
俺はお前に負けた事なんか一度もないわ!」
そう言い返す猛も、その気持ちを痛い程、感じ取っていた。
喜一:「今日は朝まで一緒にいたれや」
そう呟いた喜一は、猛に無言のエールを送った。
最初のコメントを投稿しよう!