別れ

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坂上:「軽く話してるし、正当化してるように写るかも知らんけど・・・ ワシも山川もあっちの世界の人間やったんや・・・ 誇れる人間やなんて微塵も思ってへん。 やけど、おやっさんは違うかった。  おやっさんはワシらの誇りやった。 おやっさんの為やったら、この命捧げれるて、本気で思ってた。」 猛:「・・・・・・・」 先ほどよりも大きく頷き、話を聞いていた。 聞いてるだけで、伝わってくる司さんの人間性と器の大きさ。 それと俺が同じやて? 一抹の不安を感じながらも、その話を聞く眼差しは本気だった。 坂上:「丁度その頃、かずみさんが出産してな? 啓子ちゃんが生まれたんや・・ 見てるこっちが恥ずかしい位、山川は娘にゾッコンやったわ・・・ やけど、そんな状況に甘える事なく、山川はおやっさんの為、働いた。 今の自分が居るのはおやっさんのお陰・・・ 啓子という宝物を授かったのも、おやっさんのお陰やとな・・・・」 猛:「・・・・・・・・・」 (その気持ち、よう分かる。 何よりも、自分だけの力でそこまで成長したんやないって、そう思える人に出会えた事を誇りに思ってるからこそ・・・・口に出せる言葉やから・・・) 坂上:「あれは、啓子ちゃんが中学に入る頃やったか・・・ ワシと山川は不審な動きをする輩を突き止める為、泊り込みで事務所を守ってたんや・・・ その時期とダブる頃に、かずみさんが病気で倒れた。 山川はきっと、帰って一緒に居てやりたいって思ってたやろう・・・ やけど、かずみさんがそれを許さなかった・・・・」
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