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坂上:「自分の嫁がどんな状況であろうが、オヤジの命を守るのが俺らの仕事や・・・
それを責めるのは間違ってる・・・
納得出来んねやったら、そのまま家を出て行け!
・・・・てな?
横に居た山川は黙ってそれを聞いていた。
ワシは勢いで言うてしまったと、後悔した・・・
自分の事やないのに、何て事を言うてしもたんやって・・・
啓子ちゃんは、葬式の後しばらくして家を出て行った・・・
結局二人の溝は深まっただけやった・・・
山川は強がってたけど、ホンマは俺の事を恨んでたと思う。
最愛の娘を俺の一言を切欠に失ってしもたんやから・・・
俺らの仕事が何であろうと、家族を一番に考えて当然やて・・・
ホンマはそう言うてやりたかった・・・
やけど、執拗に山川を責め続ける啓子ちゃんを見て、冷静さを失ってしもたんや・・・
ワシはあの日以来、啓子ちゃんと山川を苦しめ続けた。
啓子ちゃんがワシの事を恨むのは当然なんや・・・・」
坂上は初めて視線を猛から逸らし、その後悔を表現した。
猛:「坂上さん・・・
それを言わせてしもてすんません。
・・・やけど、男には背負うべきモノがあるんです。
親方は絶対、坂上さんをどうとか思ってないと思います。
気持ちが繋がった関係で・・・
きっと、娘は・・・啓子さんは自分の元へ戻ってくるて・・・
そう信じて生きてきたんやないでしょうか・・・
きっかけが坂上さんやっただけで・・・
きっと親方も同じ選択をしたんやないかって・・・
そう思います」
猛は坂上の話をすべて聞き入れた瞬時、自然と口を開いていた。
坂上:「・・・猛、ありがとう」
(まるで、山川に慰められてるみたいな気分や・・・・)
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