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色んな事を考えながら、入院生活を過ごしていた。
何も出来ない日々にイライラが募り、ジッとしてられない衝動に駆られていた。
木下に懇願し、退院させてもらった。
(早よ会社に戻らなな・・・
行き先のない船なんか、不安で誰も乗ってくれんわ・・・)
不安に思ってる事はそこであった・・・
親方が残した財産である、今いる社員を誰一人として、見殺しにする訳にはいかない・・・
何よりも仲間を大事にしてきた親方やからこそ・・・・
そう思うと、居ても立ってもいられなかった。
兵頭に連絡を入れ、病院まで迎えにきてもらった。
猛:「リョウさん・・・・
経験なんかは関係ない、大事なんは気持ちや・・・・
この前の話、考えてくれたか?」
猛の言う、この前の話とは、兵頭に現場を退き、猛の右腕となって仕事をこなして欲しいと言うお願いをした事に該当する。
兵頭:「・・・・・ホンマに俺でええんかな?」
猛:「俺が親方に追いつくには、どうしてもリョウさんの力が必要やねん・・・」
兵頭:「・・・俺は親方と約束した通り、それを猛が望むなら・・・・」
猛:「頼んます。
それと・・・・・啓子さんを組織に入れたいと思ってます。
親方の希望は、俺だけやない。
恵子さんこそホンマの希望・・・」
兵頭:「それは違う・・・
親方の希望は猛、お前や・・・」
猛:「リョウさん・・・
確かに俺もそう信じてる。
やけど、最後の別れの日に俺と啓子さんが出会った・・・
それがただの偶然やと思いますか?」
兵頭:「・・・・偶然とは言わん
やけど・・・・」
猛:「概念は要りませんよ。
きっと親方が最後に引き合わせたかった人物こそ、啓子さんやった・・・
俺はそう思ってる。」
兵頭:「ほうか・・・・」
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