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猛:「啓子さん・・・・
今日、お誘いしたのは・・・」
啓子:「お父さんの事・・・・
でしょ?
何を言われても、今更遅いよ。
私がお父さんを許したとしても、もう帰ってこないんですもの・・・」
猛:「ちょっと待ってくれ。
啓子さん、俺はそんな事に興味ない。
いや・・・
興味ないって言うたら嘘になるんやけど・・・
むしろ、誤解を解くのは当たり前やと思ってます」
啓子:「当たり前・・・か」
少し言葉に詰まるように、猛の表情を見て、また視線を逸らした。
猛は啓子の誤った理解に対して、少し口調が荒げていた。
そこにいる一人の男は、間違った方向に動いていた啓子の感情に、イラ立ちを隠せずにいたのだった。
猛:「俺は親方・・いや山川さんが父親やと思ってる。
啓子さんがどう思おうが、俺の親父は山川さんなんです・・・
自分の親父が残した、ホンマの娘であるあんた・・・・
いや啓子さんが親父の事を遠ざけるやなんて、そんなんおかしいわ。
俺にも、ホンマの親父がいる。
小さい頃から、虐待され続けた・・・・
毎日毎日、鼻血流して、痣作って学校行ってたよ・・・
小さい頃は親父が怖くて仕方がなかった・・・・
数年前まで、親父の事が憎くて仕方なかった・・・・・
やけど、やっぱり自分の親父やねん・・・
尊敬はせんけど、嫌いにはなり切れんかった・・・・
もう、交わる事はないかも知れんけど・・・・
交わるのであれば、普通に接せる事が出来る。
それが何でか分かりますか?」
啓子:「・・・・・・・ごめんなさい。
分からないわ・・・」
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