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猛:「ホンマの父親やからですよ…
俺のホンマの親父はね?
器の小さい人間でした。
やから、弱い者しかイジめる事が出来なかった。
この前、数年ぶりに親父に会いましたよ・・・・
その数年間・・・・
同じ期間を過ごした、経験に大きな差があったんでしょう・・・
そこに居たのは、小さい人間でした・・・
こんな奴に俺は怯えてたんか・・・・
そう思うと、自分が情けなく感じた・・・・
同時に自分の親父の事も情けなく感じたんです。
やけど、山川さんは器の大きい人です。
自分の親父と比べて・・・とかそんな次元の話やない。
あんたの親父は、ホンマに大きな人間なんや・・・
あんたが軽蔑している人は、絶対他人に軽蔑されるような人間やない・・・・・
それだけ理解してもらえれば、啓子さん・・・・あんたの記憶を掘り起こせば、自ずと山川さんの事を許せるんやないですか?」
啓子:「・・・・・・・・」
啓子は猛の言う言葉を聞き入れ、何かを思い出すように、何かを考え込むように・・・・
そんな表情をして、俯いてしまっていた。
猛:「啓子さんのおっしゃる通り、今更誤解解けても、山川さんは帰ってきません。
やけど、親方・・・いや山川さんの意志は、俺ら【仲間】みんなの心に受け継がれている。
もちろん、啓子さん・・・あんたの心にも受け継がれてるはずや・・・
会えなかった10年間は、俺らがしっかり受け継いでますから・・・・」
啓子:「・・・・・猛君」
猛の名前を囁き、恵子の瞳から一滴の涙が零れた。
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