二人の行方

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月日は流れ・・・ 啓子がY社に来て、早1年が過ぎようとしていた。 最初は何をすれば良いのか分からなかった。 ただ、社長である猛を見て、学ぶ事にした。 最初は何も余裕がなく、ただ呆然としてしまっていた。 それがある日を境に何かが変わった。 半年位経ったであろうか・・・ 未だコツも分からず、言われた事を処理するのが精一杯の状況であった。 ただ、他の事務員とは明らかに違う周りの対応に、気が引け、何よりも苦しくなった。 自分が前社長の娘やから・・・ そんなネガティブな気持ちが尚更自分の才能を包み隠していた。 そんな雰囲気を醸し出す啓子に猛が初めて意見した。 猛:「啓子さん・・・ 周りの目は関係ない。 外面だけで全てを判断したらあかんよ。 皆があんたに気を使ってるのは、あんたが親方の娘やから・・・・だけやない。 あんたが内に張り詰めた殻を破る勇気がないからや・・・。 周りより、まず自分やで?」 その一言が何かを変えた。 その日から、自分も去る事ながら相手の内面を見るようになった。 そうしていく内に、自然と自分が変わっていくのが分かった。 外見だけの中身がない人間がいかに薄っぺらいか・・・ すべての見る観点が変わった。 最初の段階でそう言われても、きっと理解できなかっただろう。 半年間の経験と苦労があったから、理解できたんだろうって・・・・・そう思えた。
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