二人の行方

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会社を任されてから1年が過ぎた頃、猛の脳裏に残るモノがあった。 会社の事で精一杯であったこの1年、ミナの事を構ってやる事が出来なかった。 その事情を誰よりも理解している彼女は、二人のこれからより、何より親方の意志を最優先にして欲しいと言ってくれた。 その言葉に甘える形となってしまったが、ミナのその言葉は何よりも猛の支えとなった。 自分が選んだ女性に間違いはなかったと、この一年で何度思った事だろうか・・・・ そして同時に、彼女の為にもY社を軌道に乗せなければならない。 ・・・いや、軌道に乗せて見せる その気持ちがより強く芽生えたのは、何よりも彼女のお陰であった。 そして・・・・・ 少しづつではあったが、会社は思い通りに動き始めた。 兵頭にも、啓子にも仕事を任せる事が出来た。 親方が築き上げてきたモノが、形を変えて大きくなってきた。 周りの助けもあり・・・ ある程度のゆとりが生まれた頃には一年という月日が流れていた。 そして脳裏に残ったパズルの断片を埋めるべく、猛はミナの実家へ行き、両親と会う約束を交わしたのである。
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