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当日、猛は普段通りの背広を着用し、ミナの実家に居た。
ミナもまた、普段着の状態ではあったが、明らかに緊張した表情を浮かべていた。
猛:「ミナ・・・?
緊張してるんか?」
ミナ:「ううん・・大丈夫。
猛君こそ、緊張してない?」
猛:「全然・・。
って言えば嘘になるかも知れんけどな?
親父さんが反対してる事は分かってるしな。
やけど、俺の全てを見てもらい親父さんが納得してくれるのをこの眼で見たいわ」
猛のその雰囲気からは、マイナスの要素は浮き出てはこなかった。
絶対、納得させる。
その【眼】は決意に満ち溢れていた。
そして、ミナの案内で家に入り、リビングにあるソファに座った。
そこには、父親はまだ居ない。
そんな状況の中、隣に座るミナはただ黙って下を向いたままであった。
『いらっしゃい。
あなたが猛君ね?
よくお越し頂いたわね?』
親しく話かけてくる女性の顔を見て、それがミナの母親である事が分かった。
猛:「お母さん・・・ですか?
今日まで娘さんとお付き合いさせて頂いておりながら挨拶出来ずに申し訳ありません・・・」
マニュアル本に書かれているかのような挨拶を交わしながらも、その自信に溢れた眼から、母親もただならぬ雰囲気を感じ取っていた・・・・・。
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