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美羽のアパート
隣に座った僕を気にせず
美羽は、お気に入りのテレビ番組に夢中になっている
こうして居ると、あの頃と変わらない…そう錯覚してしまう
変わったのは二人で居る頻度
あと、少しだけ僕に遠慮するようになったくらいか
「彼、夜勤なんだよね…」
テレビを見つめながら美羽の口が動く
美羽には新しい男が居る
彼が夜勤の度に、僕が呼ばれるのは通例になっていた
まだ美羽に未練のある僕にとって
これほどの苦痛は無い
しかし、プライドを上回る想いが
僕をまだ、彼女の隣に座らせている
「そうなんだ」
「寂しいとね…つい電話しちゃう」
そう言い寄り添ってくる美羽
自分勝手な物言いに
違和感を感じながらも
僕は彼女に触れていた
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