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激しく共感しながらも、自身のことを見直せば俺とピー子も全くタイプが違う。
そりゃもう正反対ってくらい。ダチの中にはピー子タイプは1人としていないし、春人が矢島に居なきゃまず関わることなんてなかった。
なんだ……やっぱ話しかける義理もないじゃん。
改めて目を瞑り、大蘭に着くまでの間、周りの情報をシャットアウト。いつの間にか本気で寝て、大蘭到着のアナウンスに慌てて電車を降りた時には、もうピー子の姿を見失っていた。
***
「薄情者」
「……」
翌日、行きの電車を待つ間、ピー子と偶然鉢合わせた。
唐突な物言いに困惑するでもなく、相変わらずコイツは“無”の表情。
低い位置から目線だけジッと俺を見上げて、続く言葉を待ってる。
「昨日、寝過ごすところだった」
「……はぁ……」
「帰りの電車。同じ車両にいたこと気付いてなかっただろ? ったく、もっと周りを気にしろよ。そうすれば俺だって慌てて飛び降りることなかったのに」
「……寝なければ済む話じゃないですか?」
「俺だけが悪いのかよ」
「……え……私も悪いんですか?」
「……」
「……」
……可愛くねぇな。
俺の周りはもっと、こう……甘い声で囁き起こしてくれる女子ばっかなのに……
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