あのこ

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だから、夏はいつしか相沢のそばに寄らないようにしていた。そんなことばかり起こるから。自分が、あんまりミジメすぎるから。 もう、はっきりと。 秋山夏は、相沢史佳が嫌いだ。 自然と人を惹きつけるたおやかな仕草、優しい気配、いっそ作り物めいた美形、風を受けていちいち舞い上がる軽やかな髪…。 そして太陽みたいな笑顔。 みんな、 みんな大嫌いだ。 あんなやつ、いなくなってしまえ。 それでもきっと、夏の学校生活も人生も、なんにも変わらないけれど。
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