ひとり

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それは、相沢を誘っているのが、きのう一緒にお昼ご飯を食べた子だったから。その前には駅前の店で買い物したこともある。 べつにそれだけで友達になったわけじゃない。夏のほうでそうなりたいとは思っているけど。 でも、角が立たないよう笑ってはいても、あんなにはっきり拒絶している相沢に食い下がることないじゃないか。そう夏は思わずにいられなかった。 私なら断ったりしないのに…。 いきなり鼻の奥がツンときた。なに!?と夏は驚いた。 なんで、こんなことで泣きが入りかかってるんだ私は。夏の胸に動揺が広がる。べつに、相沢に絡むあの子がそんなに好きなわけじゃない。ただのクラスメート以下ではあっても、以上ではまったくない。 だけれど、それはきっと、夏以上に相手にとってそうなのだということを、あまりにも不意打ちで突きつけられたことが、信じられないダメージになって夏の胸を貫いたらしかった。
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