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「それで貴志の奴、俺にカレー粉をねだったのか」
「あんたそのカレー粉、何処から持って来たの?」
と、礼子は聞く。
「何処って……」
坂本は、それがどうしたって顔をしていたの。
先程、弟の話を聴かされて、正座に足を折り畳んだ時の表情は、何処か遠くの山の中って感じかしら。
「敬ちゃんはお母さんから聞いたかな? 昨夜の事件」
「事件って、あの空腹泥棒? うん、それなら聞いたけど。確か四丁目のラーメン屋さんが被害を受けたって、言ってた」
「おっ、おい。ちょっと待ってくれ!」
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