証拠品

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礼子は昼過ぎに、この家を一度抜けているの。 向かった先は、ピザ・ラッキー。 そこで働くアルバイトのA君は、情報工学部に席を置く大学生なんだって。 礼子が以前、取材に訪れた際に知り合いになったようね。 そのお店のパソコンから、ソフトを移設して貰ったのよ。 最近はデリバリー(昔風に言うなら出前ね)のお店は、お客さんから電話を受けると、電話番号だけを聞いて、それを目の前のパソコンに打ち込むの。 一度登録されているお客さんなら、名前から住所、以前注文を受けた商品と、その日付け。 アンケートを回収していたなら、その家の家族構成から好みなど、諸々の事までディスプレイに表示されるの。 そのソフトを礼子は、手に入れていた訳。 なんとも用意周到な事ね。 末恐ろしい妹よ。
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