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「なんで礼ちゃんが犯人なの? それにあたしを利用したって、どういう事? ぜんぜん意味が解らないよ」
「まぁまぁ、それは後回し。早くしないと閉館時間になっちゃうよ。ほら坂本も、しっかりしてよ」
妹は未だ放心状態の彼のほっぺたを『ピシャピシャ』と二回ばかり叩いて、現実の世界へと引き戻そうとしている。
彼の唇の端っこから、涎がたらりと垂れ下がったのを見て、さっきこいつに対して在らぬ想像を抱いた自分自身に、嫌気が差したわよ。
坂本勉の手には、あたしが渾身の一撃を入れたにも拘わらず、CDがしっかりと握られていたの。
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