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「俺はそんな事はしていない。ただ、余計な文面を削り取っただけだ」
坂本は、あたし達のお気に入りの絨毯の上で、胡座をかいていたわ。
彼のジーンズの裾は未だに濡れているみたい。
あたし達はこの絨毯の上でゴロンと横になったり、寝そべって少女コミックを読むのが好きなのに。
彼が帰ったら、すぐに掃除しなきゃ。
「それが歪曲って言うのよ!」
妹は向かって左の机(言うまでも無いけど、右があたしの机)の引き出しから、ボイスレコーダーを取り出したの。
まさに、新聞記者気取り。
恐れ入谷のなんとか、ってね。
「これを聴いてちょうだい」
そう言うと、礼子はボイスレコーダーのスイッチを押したの。
聴こえて来た第一声は、がらがら声(酒焼けの声って、こういうのを言うのね)だった。
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