5540人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
「ん?」
「俺なんかした?」
雪兎のその言葉に如月は微かに眼を見開いた。まさかそんな事を言われるとは思わなかったのか思わず変な声を出してしまう。
「へ、ぇっ?!」
―― もしかして顔に出てた?おっかしいなぁ、ちゃんと笑ってる筈なんだけどな。
「な、なんで?」
「いや、なんか捨てられた犬みたいな顔してたから」
雪兎が言ってる事は若干違うにしろ、確かに如月は自分では気づいていないが傷付いたと言うように顔を歪めていた。それは一瞬の事だったが、いつも傍に居る雪兎だからこそ分かった事なのかもしれない。
しかしその言葉の驚きよりも、如月の頭の中は"?"でいっぱいだった。
――い、犬?しかも捨てられた犬って……どんな顔?
「寂しそうっていうか、悲しそうっていうか……なんか飼い主に捨てられそうな犬みたいに見える」
いや、さっきと言ってる事違うから…捨てられた犬と捨てれらそうな犬は違うくない?結果的には一緒なんだろうけど……。つか、飼い主って……オレが犬で雪が飼い主?オレ的には逆がいいんだけどなぁ、真っ赤な首輪に鎖をつけてオレだけに従順な犬に調教してやりたい。
――あぁ、いいかもしれない。…って違う!
そんな変な事考えてる場合じゃなかった。と、前を見るとこちらを心配そうに見つめ返答を待っていた。
最初のコメントを投稿しよう!