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「……ま、…如月!」
「………なーに?」
これ以上は危ない。そんな気がした。
「…ッ」
真宮のこの異常さは慣れてるけど……、今の真宮は恐い。
光の宿ってない瞳が細められ、その笑みは人形みたいに人間味を感じさせない物だった。
「どーしたのぉ?」
「…ぁ」
「オラッ!いつまでも話してんじゃねーよ。篠宮はさっさと席につきやがれ!…………真宮、テメェには話しがある、ちょっと来い」
クラス中が真宮の雰囲気に引き込まれ、抜け出せない中それを壊すように御剣先生の声が響いた。
「えー、なんでぇ?オレは雪が…………、ゆき?」
「ッ……ぁ、………俺は…大丈夫だから行って、いいよ」
まださっきの恐怖感が残っていて、真宮の顔を見れずに俯きながら返事を返した。それが、いけない事だって分かってるけど……顔をどうしても上げることは出来なかった。
「…………わかった~。じゃあ、行ってくるからイイ子にしててねぇ」
そう言って、俯いていた俺の頬に優しく真宮の手が触れた。
でもその時、真宮が一瞬だけ……誰も気づかないほどに一瞬だけだけど、泣きそうな表情をしていたなんて気づかなかった。
触れた真宮の手に怯えるように、俺の身体が微かに震えたのを真宮は気づいていたのに……。
俺は、真宮を傷つけてしまった。
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