■ 第一話

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    「……ま、…如月!」 「………なーに?」 これ以上は危ない。そんな気がした。 「…ッ」 真宮のこの異常さは慣れてるけど……、今の真宮は恐い。 光の宿ってない瞳が細められ、その笑みは人形みたいに人間味を感じさせない物だった。 「どーしたのぉ?」 「…ぁ」 「オラッ!いつまでも話してんじゃねーよ。篠宮はさっさと席につきやがれ!…………真宮、テメェには話しがある、ちょっと来い」 クラス中が真宮の雰囲気に引き込まれ、抜け出せない中それを壊すように御剣先生の声が響いた。 「えー、なんでぇ?オレは雪が…………、ゆき?」 「ッ……ぁ、………俺は…大丈夫だから行って、いいよ」 まださっきの恐怖感が残っていて、真宮の顔を見れずに俯きながら返事を返した。それが、いけない事だって分かってるけど……顔をどうしても上げることは出来なかった。 「…………わかった~。じゃあ、行ってくるからイイ子にしててねぇ」 そう言って、俯いていた俺の頬に優しく真宮の手が触れた。 でもその時、真宮が一瞬だけ……誰も気づかないほどに一瞬だけだけど、泣きそうな表情をしていたなんて気づかなかった。 触れた真宮の手に怯えるように、俺の身体が微かに震えたのを真宮は気づいていたのに……。 俺は、真宮を傷つけてしまった。
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