苛立ちと忠告 side遥香

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++++++ 「はぁ~……、終わった」 小さく呟いて、背もたれに寄りかかり時計を見ると、7時。 今日は珍しく商談の取り付けがない。 久しぶりに早く帰ってみてもいいか……。 何故か理由も分からずにそう呟いて、ひとまず運転手に連絡する。 山本さん、というらしい。 「あぁ、雅だ。今から迎え頼めるか?……あぁ、じゃあ着いたら連絡してくれ」 携帯を切り、再び背もたれに寄りかかって、目を瞑った。 俺は、雪村を千恵の代わりにしているのか? 『今疲れてるんだ。一人にしてくれ』 『ねぇ、遥香。何で怒ってんの?』 『怒ってない。……泣くなよ』 『だって……』 『悪かったって』 『うん。いいよ。お仕事お疲れ様』 千恵は、よく泣く奴だった。 それに比べてあいつは……。 あんなに酷いことを言われて、微笑んで頭下げて。 理不尽な契約にだって了解だして。 全然違うんだ。 千恵とあいつは。 それでも雪村さんの娘の二枚の写真を見た時、真っ先にあいつを選んだのは……。 恐らくは千恵のせいだ。
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