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目覚めると頭上に見覚えのある女生徒の姿があって、私は狸寝入りしてしまった。
ふわっふわで手触りの良さげな金髪、それだけでもう誰が察しが付いてしまう。個性って大事ね。
それにしても、何故ここにいるのかさっぱり分からないわ。闇討ちかしら?
薄く開いた視界の先には暇を持て余した彼女が髪を手櫛で梳いたり、リップクリームを塗ったりとなんとか手持ちぶさたになるのを避けようと尽力している様子が見えた。
私が起きるのを待っている?
そう結論付けるのと同時に、私の身体が揺り動かされた。
「相沢さん、もう下校時刻よ」
甲斐甲斐しく世話をする幼なじみのような調子で彼女はそう続けた。
男なら歓喜しそうなシチュエーションね。
そんなズレた考えが頭をよぎるも、揺すられているうちに霧散してしまう。
この……、起きるまでやめない気? いい迷惑よ、ほんと。
これ以上揺すられたら胃から何かが込みあがってくるような気がして、私は観念して目を開けた。
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