427人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
「ややや、まさかお姉様と偶然出会えるなんてっ!」
「そんなに喜ぶべきこと?」
「はいっ。なんてったって、あたしの恩人様なのですよ!」
恩人……といっても、彼の妹だから、そして彼に頼まれたから、少し手伝っただけで、大恩を感じる必要はないのだけれど。わざわざ面と向かって言う必要もない、かしら?
「それに、そのナイスなばでぃーにも羨望の眼差しを。じろり」
「いやよ」
「あっははー。そんな露骨に隠さなくたって揉みしだきやしませんよーっ」
「揉みしだく!?」
わきわきと手を開いたり閉じたりしてにじり寄る愛美ちゃんに、身の危険を感じるので先ほどより二歩離れて歩きましょうか。
「ああん。お姉様ったら、つれない反応っ!」
「……どうしてこうなってしまったのかしら」
顔見知りの残念な進化に、いや深化? むしろ真価? に、なんとも言えない気持ちになりつつ、私は真っ直ぐに彼のうちへと向かっていたのだった。んー、うちに帰るはずだったのにねぇ……。
最初のコメントを投稿しよう!