第三章:悪意の理由は善意

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「けど、何故愛美ちゃんは今日この街にいるの?」 「何故だと思います?」 「質問に質問を返さない」 「だが断るっ!」  ふーん。あ、そう。じゃ、私帰るから。 「ああ! もうすぐそこだっていうのに帰らなくてもいいじゃないですかっ。ああもう、分かりましたよ。にーちゃんに会いに来たんですっ。悪いですか、ブラコンで悪いですかにーちゃんらびゅーですよ」 「……今日、平日よ?」 「それがどうしたぁぁーっ! なのですっ」 「やれやれ」  これだからブラコンは。 「む。なんですか、そのやれやれこれだからブラコンは。みたいな表情は。そういうお姉様だってにーちゃんラブでしょっ?」 「ななな、ないわ。万に一つもないわ」 「そういえば、夏祭りはどうでしたかっ? あたしが気を利かせて二人っきりにして差し上げたんですから、ちゅーくらいしましたよね」 「ななななな、ないわー」  むしろ、あれ以来気まずくなって連絡を取り合わなくなって寂し……いわけないじゃない。 「あ、ツンデレー」  ツンデレ違う。
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