第三章:悪意の理由は善意

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 消息不明、音信不通。  いつ、そして何故彼はいなくなったのだろう。誰一人に、何一つ告げることなくの失踪。  嫌な予感がする。  そして、嫌な予感とは得てして当たるもので、ただ気持ちばかりが先走り、焦燥に駆られる。  少しでも何かが掴めれば……。とはいうものの、たかが一介の高校生にどうにか出来るはずがない。  けれども、ただ無為に過ごすくらいなら、例え無駄だったとしても何かをするべきだ、いやしなければならない。  考えろ、私。  何故、空は消えた? 能動的に、それとも受動的に消えたのか?  前者ならば、手の施しようがない。私は彼が向かう先を想像出来るほど、彼のことを知っていない。  でも、後者なら。誘拐、ということになるのだと思う。そうすると……、  誰が? 誰かしら。  何を? 空を。  いつ? 夏休みが明けて一週間後から文化祭の準備が始まるまでの四日間。  どこで? おそらくこの街のどこかで。  何故? 彼の殺害、もしくは……監禁?  どうやって? 不明。  ここから、導き出される答えは……! 「なるほど、さっぱりわからん」
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