第三章:悪意の理由は善意

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 授業が終わるとすぐさま辺りを囲み込むように女生徒諸君が集まって来た。その様はさながら砂糖菓子に群がる蟻を彷彿させる。もしくはサバンナで草食動物の狩りに勤しむ肉食獣か。  矢継ぎ早に掛けられる言葉の大半は、体調はどうだとか何が原因で休んでいたのだとか。率直な言葉に新鮮味を感じながらも、丁寧に礼を返していく自分に感心した。これが、成長か。  人との関わりに拒絶感と嫌悪感しか抱けなかった自分に変化を与えてくれたのは、憎らしくもドッペルゲンガーとの出会いなのだろう。  数奇な運命の廻りに感謝しながら、ただ次のチャイムをまだかまだかと待ち続けるのだった。  いやだって、いつまでも質問攻めされたら正直鬱陶し以下略。
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