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◇ ◇ ◇
「スタンガンなんて持ってたの?」
と、にーちゃんが呆れ気味にそう言うと、お兄ちゃんが、
「ナイフを振り回す人よりは可愛げがあると思うけど」
愉しそうに笑う。
「そんなことよりこれ、胸が苦しい」
お兄ちゃんはおもむろにシャツの首もとに手を突っ込んで、ごそごそとまさぐった。
「おいおい、慎んでくれよ」
にーちゃんは慌ててお兄ちゃんに背中を向けた。シュルシュルと衣擦れの音に、にーちゃんはどぎまぎして居心地が悪そうにしている。
やがて、お兄ちゃんは首もとから細長い包帯のような布を取り出すと、それを使って倒れこんでいるストーカー男を後ろ手に縛った。
「もういい?」
「いいけど、今裸」
「ばっ、おまっ!?」
「嘘だけど」
「……」
にーちゃんは深い溜め息を吐き出して、振り返りざまに血の付いた石を地面に放った。
頭から血を流し、口から泡を噴くストーカー男をジッと見つめ、うーんと唸りながら首をかしげた。
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