2/2
前へ
/44ページ
次へ
 俺、小田桐ケンタ(17)は生まれつきで人のウソがわかってしまう。 言わば、ウソ発見器の能力を持って生まれた人間と言うことだ。  ではどうやって見分けるのか? それはウソを言った人間がたちまち黒く染まって見えるのである。  もちろん俺は生まれてきてから今まで、いくつか試してみた。その結果としてわかったのは次のことだ。 1)例え事実と違っていても、本人が本当だと思っていれば、ウソと識別されない。 2)Aが嘘を言ったとする。周りでBがその話を聞いていた。Bはウソだとわかっていても黒く染まることはない。おそらく、Bはウソを言っていないからであろう。 3)あいまいな返事では判断されない。 「たぶん」 「おそらく」 と言った表現ではウソを言ってることと認められない。 4)会話中のどの部分がウソであったかは具体的には表されない。自分で判断しなくてはいけない。 5)識別されるのは俺の聞いた会話のみである。  俺にわかってるのはだいたいその程度だった。 「人はウソつきばかり…誰も信じられない。」 俺はそう思っている。 誰もがウソを言った記憶はあるだろう… 俺はそれがわかってしまうのだから…ウソであろうと疑うわけでなく、ウソだとわかってしまうのだから…  
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加