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「狭そうですねぇ、肩身。婿養子っすか?なら凶児と同じっすよ。ねぇ篠助、年いくつ?凶児35歳」
突然の質問攻め、そしてなぜか親しそうな口調。篠助は目を丸くした。
なんだこの人、名家の婿養子には全然見えない……。
でも、嫌いじゃない。むしろ好きだ。篠助は少しだけ、肩の力を抜いた。
「はい、婿養子です。そして、私も35なのですけれど」
「うっそ、篠助同い年?あ、じゃあさ、凶児と仲良くしようぜ。前々から、凶児篠助の事気になってたんだよね。そうだなぁ、篠ちゃん!篠ちゃんでいいや!篠ちゃん敬語なしだぜ」
凶児はほっとくと一人で進めてくれるタイプらしい。口下手な篠助にはますますありがたかった。
しかし、35でこの性格、この一人称。大丈夫なのか、三端家。
何にせよ、篠助は楽しかった。もうこの会議に参加するようになって15年だが、ようやく人生に活路を見いだせた気がする。
それまで世界の終焉を願っていた篠助の心は、突然やってきた凶児によって動かされた。
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