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夜のコンビニ前…行く宛てのない若者達が店の前で集い、仕事に疲れた者が立ち寄り、毎日顔を会わすことがあっても決して言葉を交わす事もない。
このコンビニ前でもそんな人間模様が繰り広げられていた。
『このみ、流しに行くぞ。乗ってかねぇか?』
『裕紀、いいよ』
数台のバイクが立ち寄り、いつもコンビニ前で地べたに座り込んでいる少女達を乗せて走り去って行く。
喧騒の後の静けさだけが残されいた。
前田このみ…14歳、両親が2年前に離婚。その後母親と二人暮らし。母親の恵は看護師で夜勤が主。
そんな日の、このみはコンビニに集う仲間達に紛れ夜を過ごす。
中学校も休みがちで最近はあまり行かなくなっていた。
バイクに乗って受ける風、流れ去る明かりが、このみの心を無心にさせてくれる唯一の時だった。
『ねぇ!もっと飛ばしてよ!』
『しっかり捕まってろよ!』
このみがハンドルを握る裕紀にメット越しに大きな声で言うと裕紀は合図にヘルメットを2回コンコンとこのみのメットに当て、更にスピードを上げる。
(この風…なんか懐かしい感じ…)
このみは裕紀の背中の温もりを感じながら風と共に明かり輝く街へと去って行った。
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