一章 嫉妬と笑顔

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 落ち込む千秋の元に、後について家から出てきた百合ちゃんも駆け寄ってくる。  二人はクラスが違うものの、家が隣ということもあるので仲が良い。  この二人に後もう一人、千秋の親友である栗橋鈴(くりはしりん)という女の子を加えた三人で行動しているところをよく見かける。 「うちのせいでごめんな……」  百合ちゃんは俺が久世家に泊まっているのが自分のせいだと思っているらしく、自分より若干身長が高い千秋の頭を撫でながら謝罪の言葉をのべた。  間違ってはいないのかもしれないが、元を辿れば責任は俺が引きずってる男にあるのだから、気にしなくてもいいのに……  対する千秋は頭を撫でられるのが気持ち良いのか、すっかり泣き止んで笑顔になっている。 「お兄ちゃん、百合ちゃんに変なことしちゃだめだよ?」 「するわけないだろ……」
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