一章 嫉妬と笑顔

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 千秋を加えた三人プラスαで登校したのち、階段のところで百合ちゃんと千秋の二人と別れた俺は未だに落胆……いや、なぜか気持ち良さそうに寝息をたてているαを豪快に引きずりながら階段を上がって自分の教室を目指す。  まだ始業までは少し時間があるというのに、我らが二年二組の教室には過半数を越えるクラスメートの姿。  基本的には真面目な生徒が揃っている上に、一番の遅刻常習犯が俺に首根っこを掴まれているのだから当然と言えば当然か。 「おはよう新山、今日は変わった荷物を引きずっているな」  教室に入るなり真っ先に声をかけてきたのは、同じ写真部に所属する悪友、比泉紫苑(ひいずみしおん)。  遅刻常習犯の裕二とは、また違ったタイプの超問題児だ。  毎日飽きもせず問題を起こしては風紀委員との鬼ごっこを繰り返している。  これは実際に風紀委員になってからわかったことなのだが、校内の問題児を上げる定例会議では、毎回必ずこいつの名前が真っ先に上げられる。  風紀委員発行の要注意人物リスト(ブラックリスト)のトップにでかでかと載せられているのもこいつ、比泉紫苑の名前だ。
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