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放課後、図書委員の仕事があるらしい裕二を置いて、一人久世家に帰宅しようと校舎を出たところで、校門に寄りかかるようにして立っている百合ちゃんを見かけた。
百合ちゃんがわざわざ裕二を待つ理由はないので、きっと俺のことを待っていてくれたのだろう。
俺は鈍感とはほど遠い男。それくらい気付くさ。
「やあ、百合ちゃん」
軽く右手を上げながら声をかけると、百合ちゃんはビクッと大げさに反応してこちらに振り向いた。
「百合ちゃんも今帰り? せっかくだから一緒してもいいかな?」
「あ、えっと……その……」
なぜか慌てだす百合ちゃん。俺、なにか不自然だったのだろうか。
『実は、新山さんを待ってたんです』
回らなくなった舌の代わりにと出されたメモ帳にはそう書いてある。
予想通りなんだけど、こう面と向かって言われるとなにかむずかゆいものがあるな。
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