一章 嫉妬と笑顔

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 待っていた理由は夕飯の買い物に付き合ってほしいとかで、断る理由もないので二つ返事で了承する。  半場無理やりとはいえ、しばらく世話になる以上荷物持ちに使われるくらいはなんともないのだが、なんというかその、二人で夕飯の買い物ってのはいわゆる……新婚さんみたいだよね。  こんなこと考えてるのが百合ちゃんに知られたら、過剰な妄想野郎として敬遠されそうだからなにも言わないけど…… 「えと、兄ちゃんは夕飯なにがいい?」 「んー、百合ちゃんの得意料理は?」 「お好み焼き……とか」  ふむ、ここで『肉じゃが』辺りが出てきようもんなら俺の妄想は更にヒートアップしていたところだ。良かった、実に良かった。 「いいね、俺お好み焼き好きだし、それお願いしてもいいかな?」 「うん、口に合うかどうかはわからへんけど……」  昨日の夕飯、今日の朝食を振り返るに、それは無用な心配だろう。  メニューが決まったところで、必要な材料を買う為に俺達は青海商店街にあるスーパーに足を運ぶことになった。
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