873人が本棚に入れています
本棚に追加
生徒会選挙数日後のとある休日、生徒会での活動に追われる平日とは違い、休日はすこぶる暇だ。
千秋は鈴ちゃんの家に遊びに行ってしまったので、商店街の辺りまで散歩でもしようかと思い家を出ると、すぐ隣の家から見知った人物が出てくるのが見えた。
「裕一さん、おはようございます」
「ああ、おはよう亮介くん」
中学からの悪友、久世裕二(くせゆうじ)の実の兄、久世裕一(くせゆういち)さん。
兄弟なのが信じられないほど、裕一さんは裕二と違って誠実で真面目。大人のお兄さんって感じだ。
スーツを着込んでいるところを見ると、これから仕事なのだろうか。
「お仕事ですか?」
「うん、今回はかなり長めの出張になりそうなんだ」
どんな仕事をしているのかは聞いたことがないが、裕一さんは度々泊まりこみの出張があり、家にいることの方が珍しいくらいなのでなかなか会う機会がない。
最初のコメントを投稿しよう!