二章 刹那の一枚

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「ふっ、それは恋だな」 「!?」  突然背後からかけられた声にビクッと体をふるわせる。  ちなみに現在地は二年二組の教室で、声の主は言うまでもなく比泉紫苑。 「……もしかして俺、声に出してた?」 「いや、ただの読心術だが」 「あ、そう……」  読心術が使えようが、かめ○め波が使えようが、相手が比泉となれば驚くだけ無駄だ。  問題は聞かれていたということよりも、俺の気持ち。 「恋……とかじゃないと思うんだよな。彼女はどっちかってーと妹みたいなもんだし」 「だからだろう」 「うん、まー、確かに俺はシスコンだけどね」  シスコンってのは別に妹を恋愛対象に見てるってわけじゃないんだよ。  中にはそんな人もいるのかもしれないけど、俺の場合はあくまで過剰な家族愛ってだけだ。
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