二章 刹那の一枚

10/12
前へ
/78ページ
次へ
 ――現在俺は、比泉から手渡されたデジカメを首にぶら下げている。  いや、俺だってあいつに悪用されるのがわかってて写真を撮るのなんて嫌なんだよ。  でもさ、比泉の野郎、『ふむ、では代わりに新山の恥ずかしい写真を売りさばくとするか』とか言うんだよ? こえーっての。  しかもなんだかんだ言って結局は商売目的だし……  まあ、そう上手く良い写真が撮れるとは思わないし、とりあえずカメラを受け取っただけ。撮るつもりなんかないさ。  そのままなにをすることもなく放課後となり、朝の内に今日も買い物に付き合う約束をしていたので、俺は裕二を上手く巻いてから百合ちゃんが待っているであろう校門へ。  一年生はホームルームの進行がスムーズなのか、百合ちゃんは昨日と同じように校門に背を預けて立っていた。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

873人が本棚に入れています
本棚に追加