断章 ひとりぼっち

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 もしかしたら、心のどこかで期待していたのかもしれない。  けれど、これは……この関係は、うちが自分で望んだこと。  その先に踏み出すのが怖くて、拒絶されるのが怖くて、またひとりぼっちになるのが怖くて……  結局うちは、自分の選択を悔やみつつ、今日も現状維持につとめるんだ。  ――今日は思わず涙を流してしまった。  きっと新山さんは変に思っただろう。  なにも触れてこないのはどうして? もしかしたら、自分が泣かせたんじゃないかとか思っているのかな。  新山さんのせいじゃない。涙を流してしまったのは自分が弱いからだ。  けど、それを自分から話してしまったらきっと情けないやつだって思われちゃう。  そしたらきっと嫌われてしまう。  もう嫌われるのは嫌。  そうして今日も、ただ静かに夕飯を作り、新山さんが話しかけてくれるのを待っている。
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