三章 些細なすれ違い

3/10
前へ
/78ページ
次へ
「なんていうか……新山くんってほんと鈍感だよね」  失礼な、俺は敏感さで言ったら平均よりもかなり上にいると自負している。 「ボクが教えてあげるのは簡単だけど、こういうことは自分で考えないとダメだと思うよ」  自分で考えてみてダメだったから相談したんだけど……  まあ、確かに咲崎の言うことには一理あると思うし、もう少し自分一人で努力してみよう。 「ありがとう。なんとなくスッキリしたよ」 「なんとなくなんだ……まあ、頑張ってね。――ボクとしてはあまり頑張ってもらっても困るんだけど」 「え? 今なんて?」 「な、なんでもないっ! そうだ、新山くんに一つだけアドバイス。悩み事ってね、大半はけっこう単純なものなんだよ」  それはつまり、もっと単純に考えてみろってことなんだろうか。  うーん…………ますますわからなくなってきたかも。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

873人が本棚に入れています
本棚に追加