三章 些細なすれ違い

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 これだけ考えてもわからないんだ。百合ちゃんの涙の意味を知るにはまだ時間がいるだろう。  それならば現在優先すべきはギクシャクしてしまった百合ちゃんとの関係を元に戻すこと。  休み時間に押しかけるのは得策じゃないな。  クラスメートの目がある中では百合ちゃんも気まずいだろう。  やっぱり放課後かな。  昨日、一昨日の百合ちゃんみたいに校門のところで待っていればすれ違うことはないだろう。 「……というわけだから、協力してくれ」 「ふむ……まあ、俺のコレクションの為だ、協力しよう」  比泉紫苑に協力を仰ぎ、帰りのホームルーム中に教室を抜け出し、校門へ。  百合ちゃんのクラスはホームルームが終わるのがかなり早いので、ホームルームに参加していたら先に帰られてしまう。  なんとか抜け出して、百合ちゃんよりも早く校門まで行かなくては……
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