三章 些細なすれ違い

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 五日目……  昨日までのギクシャクした感じはどこへやら、今日は百合ちゃんと二人並んでの登校。  裕二はと言えば、百合ちゃんに激しく拒絶された為に俺達の五メートルほど後ろをトボトボとついて来ている。 「そういえば、兄ちゃんはもう生徒会の仕事してるん?」 「一応ちょこちょこ参加させてもらってるけど、引退ってわけじゃないからまだ三年生がメインかな」 「そうなん」 「まあ、もうすぐクリスマスパーティーに向けての準備が始まるから、そしたら忙しくなると思うけどね」  百合ちゃんと世間話をしていると、背後に人の気配。  裕二が追いついて来たわけではない。  この嫌な気配は…… 「比泉か」 「ふっ、なかなかできるようになったな」  やはり、背後には比泉紫苑の姿。  とはいえ気づいたのはこいつが真後ろに立ってからだ。それまではまったく気配を感じない。  相変わらず恐ろしいやつ。
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