四章 終幕、それは新たな始まり

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 空が青い。  適度に吹き付ける風は心地よいし、冬も間近だというのに、屋上での一時は俺にくつろぎを与えてくれた。 「新山? なんでこんなところで飯食ってんだよ」  正直、暇を持て余していた俺に声をかけてくれたのは、今日もしっかり学ラン着用の白石薫(しらいしかおる)だ。  下もスカートではなくズボンだし、どちらとも言えない中性的な顔立ちや名前をしているが、薫はれっきとした女の子。  人の多いところは嫌いらしく、普段あまり使われていない現在地、旧校舎の屋上でばったり合うことが度々ある。 「今日も久世の従姉妹の手作りか?」 「薫も知ってたのかよ……」 「オレだけじゃなく、クラスの奴はほとんど知ってると思うぜ。咲崎と織原が楽しそうに言いふらしてたからな」  あいつら……断じて許さん。  まあ、怖いから報復はしないけどね。
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