四章 終幕、それは新たな始まり

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 そりゃ、百合ちゃんにちゃんと確認したことはないけどさ、百合ちゃんはきっと…… 「多分だけど百合ちゃんは、『家族』を欲してるんじゃないかって思うんだよ」 「家族?」  空を仰ぎ見ながら自分の考えを述べると、少し長くなると判断したのか、薫は隣に腰を下ろして聞き返す。 「両親が離婚しちゃって、今はあの子、ひとりぼっちだから」 「こっちの久世家の人達がいんだろ」 「親戚とはいえ他人の両親にはなかなか甘えられないだろうし、お兄さん代わりになりそうな裕一さんは仕事の関係であまり家にいない。もう一人はアレだし」 「まあ、アレに甘えろってのは無理な話だな」  どこまでもアウェイなアレこと村人A……自分で話をふっといてなんだけど、ほんと不憫な奴だな。 「だからさ、百合ちゃんは俺にそういう関係を求めてるんだよ。俺のことを『兄ちゃん』って呼ぶことになった時、そんなようなことを言ってたしね」
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