序章 激変する生活

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 こうと決めた時の裕一さんの行動力は凄まじいもので、まずは春香さんに事情を話して俺が久世家に泊まり込む許可をもらい、次に有無を言わさぬ口調で裕二を丸め込み、僅か数分でもう久世家に泊まり込むしかないという状況を作り出してしまった。 「それじゃ、後は任せたよ亮介くん」  やるだけやって、爽やかな笑顔で愛車に乗り込み、颯爽と去っていく裕一さん。  はぁ……気が重いな。  俺は仕方なく自分の部屋に戻って必要な荷物をまとめ、春香さんにだけ挨拶してから風見家を出る。  千秋が遊びに行ってて良かった。  俺が家を出て行くなんて言ったら泣き出しかねんからな。  風見家から徒歩三十秒、着替えや最低限の生活用品が入ったバッグを背負ったまま、久世家のインターホンを鳴らすと、すぐに部屋着姿の裕二が玄関に出てきた。 「亮介、いらっしゃい」 「今日からお世話してやります」 「……斬新な挨拶だな」
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